クレーンの保守管理

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 クレーンを安全に使用するためには、管理体制や作業の標準化ならびに維持管理を充実させる必要がある。また、運転士自身がクレーンについての正しい知識を持ち、運転方法や整備の技量を向上させる努力を積み重ねることも重要であるといえる。

クレーンの点検作業の手順

 クレーンの整備不良は、事故や災害の原因となる。クレーンの運転士は、運転中の異常音や異常振動に注意し、異常を感じた時は運転を直ちに中止し、次の事項に留意して点検しなければならない。
1.クレーンの回りを縄張りし、部外者の立ち入りを禁じる。
2.走行トロリ線給電等の開閉器を切り、通電禁止の表示を行う。
3.作業に適した服装、保護帽、安全靴、安全帯を着用し、必要に応じて保護眼鏡を使用する。
 保護帽は、あご紐を確実に締め付ける。高所作業で使用する安全帯のロープは、腰より高い
 位置に取付ける。
4.クレーン及び近接する建物や設備等の点検や修理を行うため、作業員がクレーンの上に乗っ
 ている時は、クレーンを運転してはならない。
5.機材や工具類を整理整頓し、クレーンやガーダ等の高所には置かない。やむをえない場合は
 落下防止の処置を施す。

クレーンの作業開始前の点検

 作業開始前の点検には、クレーンの電源を投入する前に行う点検と、電源投入後に行う点検がある。

 ● 電源投入前の点検

1.コントローラのハンドルやスイッチ類が停止位置にあることを確認
2.ワイヤロープがシーブやドラムから外れていないことを確認
3.ワイヤロープが機体又は他の部分と接触していないことを確認
4.ワイヤロープが通っている箇所に異常がないことを確認
5.目視によってレール上の障害物の有無を確認
6.横行レール及び走行レールの取付ボルトの脱落やレール継目の異常の有無を確認
7.アンカーやレールクランプが解放されていることを確認

 ● 電源投入後の点検

1.クレーンのコントローラや押しボタン等が表示通りに作動することを確認
2.巻過防止装置、警報装置、ブレーキ、クラッチ等が正常に作動することを確認

クレーンの給油

 軸受、歯車、ワイヤロープ等は適切な給油を行う必要がある。グリースの給油には、集中給油式、グリースカップ式、グリースガン式がある。集中給油式は、手動又は電動ポンプによって給油管、分配管、分配弁を通じて各軸受に一定量の給油を行うもので、手動式と電動式がある。グリースガン式やグリースカップ式は、集中給油式と比べて給油に手間が掛かり給油を怠りがちだが、確実に給油を行わなければならない。クレーンの潤滑油は、使用箇所に応じた粘度、油膜の強さ、変質を考慮したものが使用されている。クレーンに給油を行う時は、ブレーキドラム、ブレーキランニング、車輪の踏面、レールの上等に油を付着させないように注意し万一、油が付着した時はベンジン等で拭き取っておかなくてはならない。

          
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