ジブクレーンは、ジブを有し、ジブ先端の滑車に巻上用ワイヤロープを通して荷をつる構造で、天井クレーンに次いで多く使用されています。
巻上装置、起伏装置、バランスウェイト等を備えた旋回体を固定されたローラパス (旋回レール)の上に据付けたもので、巻上げ、起伏、旋回の運動を行うことができる。固定式と走行式があり、走行式は走行する台車の上にローラパスを設置している。主に埠頭や岸壁の荷役作業に使用されるが、ビルの屋上に設置して建築工事に用いられることもある。
門形の架構上にジブを有する旋回体を設けたもので、走行する形式が多く、脚が門形をなしているため門形ジブクレーンとも呼ばれる。クレーンの脚の間にトラックや貨車を引き入れられるため、占有面積は少なくてすむ。このため、主に埠頭や岸壁等での荷役作業(船舶の荷等の積込み又は積降ろし)に使用される。なお、片側のレールを埠頭倉庫の屋上等に設置したものは、片脚ジブクレーン(半門形ジブクレーン)と呼ばれる。
高い塔形の構造物(タワー)の上に起伏するジブを設けたもので、クライミングの機能は有していない。巻上げ、起伏、旋回、走行を行うことができ、主に造船所のぎ装(船舶の内装又は外装工事を艤装といい、学術用語ではぎ装という。)に使用されている。
工事の進行状況に応じてマストを継ぎ足し、旋回架構をせり上げることができる。クライミングの方法には、油圧シリンダの伸縮によるものと、昇降ワイヤロープの緊張によるものがある。巻上げ、起伏、旋回を行うことができ、高層ビルや大型建造物の建設工事、ダムのコンクリート打設等に用いられている。工事が終了すれば解体され、他の工事現場に移設して再び組み立てられる。
塔状の構造物(タワー)の上に旋回する水平ジブを設けたもので、クレーンの形がハンマーに似ているためこの名が付けられている。トロリの形式により、ホイスト式、クラブトロリ式ロープトロリ式(セミロープトロリ式を含む)に分けられる。また、固定式と走行式があり、その多くは走行することができる。固定式は巻上げ、旋回、横行ができ、走行式は走行を行える。主な用途としては、造船所の船台用、ぎ装用に使用されている。クライミング装置を備えたクライミング式つち形クレーンは、ジブ及び旋回体が塔に沿って昇降ができるもので、建設工事等に使用されている。
一般的なジフクレーンは、巻上操作を行わないでジブを起こすとつり荷は上がり、ジブを倒すとつり荷は下がる。引込みクレーンは、そのままジブを起伏させてもつり荷を水平に引込むことができる構造である。障害物等の影響を受けにくく、移動距離も短いため荷の積み降ろしの安全性や作業効率を向上させることができる。
3つのジブを組合せた構造により、ジブ先端のシーブ(滑車)を水平に移動させることができる。ジブの起伏は、旋回体とジブの中間をつないだ引込みロッドのの伸縮で行っている。荷揺れが少なく高速運転ができるため、岸壁での重量物の運搬や使用頻度の高い石炭や鉱石等の荷役に適している。
ジブと連動するスイングレバーを旋回体上部に取り付け、巻上用ワイヤロープをスイングレバー後部のシーブを介してジブ先端のシーブに掛けた構造。スイングレバーの働きにより、引込みでは巻上用ワイヤロープが繰り出されて荷を水平に移動させることができる。主に船台ブロックの運搬や組立に使用されている。
旋回体上部のシーブとジブ先端のシーブの間に巻上用ワイヤロープを複数掛けの工夫を凝らし、荷を水平移動できるようにしたもの。主に埠頭や岸壁での雑貨荷役作業等に使用される。
先端ジブ後部を特殊な曲線加工し、これに支持ロープを掛けて荷を水平移動させる構造。
旋回体をポストで支え、そのポストの回りを旋回体が旋回する簡単な構造。巻上げと旋回を行うことができ、傾斜ジブでジブが起伏するものとしないもの、水平ジブを備え、そのジブに沿ってトロリが横行する方式がある。つり上げ荷重は、1t〜5t程度の小容量ものが多く、駅構内の荷の運搬や岸壁での荷役等に使用されている。ポスト(垂直な柱)の下部は、堅固な基礎に固定されている。
建屋の壁や端に取付けられたクレーンで、水平ジブに沿ってトロリか移動するものが多い。トロリの構造により、クラブトロリ式、ロープトロリ式、ホイスト式がある。また、ジブが旋回するものや旋回の代わりにクレーンが走行する形式もある。その他にトロリがなく、ジブ先端からつり下げられたフックによって荷をつる簡単な構造のものもある。壁クレーンは、能力の小さいものが多く、天井クレーンの補助的な作業に使用されている。