クレーンの設置

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 クレーン等の特定機械を製造する場合には、 所轄都道府県労働局長の製造許可を受けなければなりません。また、 設置する場合には、設置届を所轄労働基準監督署長に提出しなければなりません。


設置届

 つり上げ荷重が3t以上のクレーン(スタッカークレーンは1t以上)を設置しようとする事業者は、クレーン設置届にクレーン明細書、クレーンの組立図、クレーンの種類に応じた構造部分の強度計算書及び次の事項を記載した書面を添えて、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。ただし、法第88条第1項に認定された事業者は除く。
1.据付ける箇所の周囲の状況
2.基礎の概要
3.走行クレーンは、走行する範囲
                              クレーン等安全規則第5条

 ● 設置届の提出が必要な者

次の事業者は、設置届を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
1.つり上げ荷重が3t 以上のクレーン( スタッカークレーンは1t以上 )を設置しようと
  する事業者。
2.つり上げ荷重が3t 未満のクレーン( スタッカークレーンは1t未満 )のつり上げ荷重
  を3t 以上(スタッカークレーンは1t 以上)にしようとする事業者。
3.クレーンを移設しようとする事業者。クレーンを同一事業所内に移設する場合は、廃止し
  て新たに設置するものとして取扱われる。このため、設置届を提出する必要がある。ただ
  し、工事の進行に伴って据付場所が順次移動することが予想される場合は、設置届提出時
  に移設の届出を行うことができる。
4.廃止したクレーンを再び設置又は使用しようとする事業者。
5.性能検査を受けずに6ヶ月以上経過したクレーンを再び使用しようとする事業者。ただし
  性能検査を受けずに経過した期間が6ヶ月未満の場合は、落成検査の申請から行うことが
  できる。

 ● 認定事業者

 平成18年4月1日に施行された労働安全衛生法等により、労働基準監督署長の認定を受けている者(認定事業者)は、クレーン等の特定機械の設置届、変更届、設置報告、休止報告等の義務が免除される。ただし、落成検査、変更検査等は免除されない。

認定事業者の条件
労働安全衛生法第88条第1項又は第2項の計画の届出事業場が対象
認定は3年間有効
落成検査、変更検査等は免除されない。
危険性、有害性等の調査を含め、労働安全衛生マネジメントシステムを実施している事業場は、次の(1)〜(3)を満たしていることについて労働基準監督署長の認定を受けることにより、計画の届出が免除される。
(1)労働安全衛生マネジメントシステムの適切な実施を認められること。
(2)労働災害の発生率が業種平均を下回っていること。
(3)申請前の1年間に死亡災害等の重大労働災害が発生していないこと。
労働安全衛生マネジメントシステムとは、事業場における安全衛生水準の向上を図ることを目的として事業者が一連の過程を定め、 次の(1)〜(4)に掲げる活動を自主的に行うものをいう。
(1)安全衛生に関する方針の表明
(2)危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置
(3)全衛生に関する目標の設定
(4)安全衛生に関する計画の作成、実施、評価及び改善

落成検査

 つり上げ荷重が3t以上のクレーン(スタッカークレーンは1t 以上)を設置した者は、当該クレーンについて、所轄労働基準監督署長の検査を受けなければならない。ただし、所轄労働基準監督署長が検査の必要がないと認めたクレーンについては、この限りでない。落成検査においては、クレーンの各部分の構造及び機能について点検を行う他、荷重試験及び安定度試験を行う者とする。ただし、天井クレーン、橋形クレーン等、転倒する恐れがないクレーンの落成検査については、荷重試験に限るものとする。落成検査を受けようとする者は、クレーン落成検査申請書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。この場合において、認定を受けたことにより、落成検査の届出をしていない時は、強度計算諸及び書面その他落成検査に必要な書面を添付するものとする。
                       クレーン等安全規則第6条第1項第2項第6項

 ● 荷重試験

  荷重試験は、クレーンに定格荷重の1.25倍に相当する荷重(定格荷重が200tを超える場合は定格荷重に50tを加えた荷重)の荷をつって、つり上げ、走行、旋回、トロリの横行の作動を行うものとする。
                            クレーン等安全規則第6条第3項

● 安定度試験

 安定度試験は、クレーンに定格荷重の1.27倍に相当する荷重の荷をつって、当該クレーンの安定に関し最も不利な条件で地切りすることにより行うものとする。この場合において、逸走防止装置、レールクランプ等の装置は作用させないものとする。
                            クレーン等安全規則第6条第4項

● 落成検査を受ける場合の措置

 落成検査を受ける者は、当該検査を受けるクレーンについて、荷重試験及び安定度試験のための荷及び玉掛用具を準備しなければならない。所轄労働基準監督署長が必要があると認める時は、検査を受ける者に次の事項を命じることができる。落成検査を受ける者は、当該検査に立ち会わなければならない。
1.安全装置を分解すること
2.塗装の一部を剥がすこと
3.リベットを抜き出し又は部材の一部に穴を開けること
4.ワイヤロープの一部を切断すること
5.検査のために必要と認められるその他の事項
                              クレーン等安全規則第7条

仮荷重試験

  製造許可を受けた者は、当該クレーンに係るクレーン又は許可型式クレーンについて所轄都道府県労働局長が行う仮荷重試験を受けることができる。仮荷重試験を受けようとする者は、クレーン仮荷重試験申請書にクレーンの組立図を添えて、所轄都道府県労働局長に提出しなければならない。所轄都道府県労働局長は、仮荷重試験を行ったクレーンについて、仮荷重試験成績表を作成し、仮荷重試験を受けた者に交付するものとする。
                              クレーン等安全規則第8条

 落成検査は、通常、クレーンの設置場所で行われる。しかし、へき地等で大能力のクレーンを設置する場合は、荷重試験に用いる荷を準備することが著しく困難なことがある。このような時には、製造許可を受けたクレーンは製造工場において仮荷重試験を受けることができる。仮荷重試験実施後1年以内に落成検査を受けるクレーンは、落成検査での荷重試験が省略される。なお、デリックには仮荷重試験についての規定はない。

クレーン検査証

 所轄労働基準監督署長は、落成検査に合格したつり上げ荷重が3t 以上のクレーン(スタッカークレーンは1t以上)又は所轄労働基準監督署長が落成検査の必要がないと認めたクレーンについて、クレーン検査証を交付するものとする。
                           クレーン等安全規則第9条第1項

● 検査証の滅失又は損傷

 クレーンを設置している者は、クレーン検査証を滅失し、又は損傷した時は、クレーン検査証再交付申請書に次の書面を添えて、所轄労働基準監督署長に提出し、再交付を受けなければならない。
1.クレーン検査証を滅失した時は、その旨を明らかにする書面
2.クレーン検査証を損傷した時は、当該検査証
                             クレーン等安全規則第9条第2項

● 設置者の異動

 つり上げ荷重が3t以上のクレーン(スタッカークレーンは1t以上)を設置している者に異動があった時は、クレーンを設置している者は、当該異動後10日以内に、クレーン検査証書替申請証にクレーン検査証を添えて、所轄労働基準監督署長に提出し、書替えを受けなければならない。
                            クレーン等安全規則第9条第3項

● 検査証の有効期間

 クレーン検査証の有効期間は、2年とする。ただし、落成検査の結果により当該期間を2年未満とすることができる。
                              クレーン等安全規則第10条

設置報告書

 つり上げ荷重が0.5t以上3t未満のクレーン(スタッカークレーンは0.5t以上1t未満)を設置しようとする事業者は、あらかじめクレーン設置報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。ただし、認定を受けた事業者については、この限りでない。
                               クレーン等安全規則第11条

 本条は、つり上げ荷重が0.5t以上3t未満のクレーン(スタッカークレーンは0.5t以上1t未満)の設置について述べたものである。これらのクレーンを設置する場合、設置届の提出や落成検査を受ける必要はないが、設置報告書を提出しなければならない。ただし、認定事業者は設置報告書を提出する必要はない。

● 荷重試験等

 事業者は、つり上げ荷重が0.5t以上3t未満のクレーン(スタッカークレーンは0.5t以上1t未満)を設置した時は、第6条第3項の荷重試験及び同条第4項の安定度試験(落成検査の荷重試験及び安定度試験)を行わなければならない。
                              クレーン等安全規則第12条

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