クレーンの自主検査

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 クレーン等は、休止しているものを除き、一定期間ごとに検査を実施し、整備不良による災害を未然に防止することが義務付けられています。作業開始前の点検は、作業開始前点検指針、月次及び年次自主検査は、定期自主検査指針に検査項目、検査方法、判定基準等が定められています。

年次定期自主検査

 事業者は、クレーンを設置した後、1年以内ごとに1回、 定期に当該クレーンについて自主検査を行わなければならない。 ただし、 1年を超える期間使用しないクレーンの当該使用しない期間においては、この限りでない。ただし書きのクレーン(1年を超える期間使用しないクレーン)については、その使用を再び開始する際に、自主検査を行わなければならない。
 事業者は、自主検査においては、荷重試験を行わなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当するクレーンについては、この限りでない。
1.当該自主検査を行う日前の2月以内に第40条第1項の規定に基づく荷重試験(性能検査
  の荷重試験) を行ったクレーン又は当該自主検査後2月以内にクレーン検査証の有効期間
  が満了するクレーン。
2.発電所、変電所等の場所で荷重試験を行うことが著しく困難な所に設置されており、かつ
  所轄労働基準監督署長が荷重試験の必要がないと認めたクレーン
3. 荷重試験は、クレーンに定格荷重に相当する荷重の荷をつって、つり上げ、走行、旋回、
  トロリの横行等の作動を定格速度により行うものとする。
                             クレーン等安全規則第34条
本条は、1年以内ごとに1回行わなければならない定期自主検査について定めたものである。

 ● 点検事項

  1.構造部分、機械部分、電気部分の異常の有無
  2.ワイヤロープ又はつりチェーンの異常の有無
  3.つり具の異常の有無
  4.基礎の異常の有無
  5.荷重試験 ( 定格荷重に相当する荷重の荷をつって行う荷重試験 )

                  天井クレーン定期自主検査表の一例
検査証番号 設置場所 主  巻 補  巻 検査実施者 責 任 者
クレーン番号 検査年月日 ス パ ン リ フ ト 担当運転士 安全担当者
区  分 検 査 内 容 チェック 措 置
ガーダ 構造部 構造部材の異常・変形・ねじれ
亀裂・腐食
結合部のボルト・リベットの緩み
錆・剥がれ等

月次定期自主検査

 事業者は、クレーンについては、1月以内ごとに1回、定期に次の事項について自主検査を行わなければならない。 ただし、1月を超える期間使用しないクレーンの当該使用しない期間においては、この限りでない。
1.過巻防止装置その他の安全装置、過負荷警報装置その他の警報装置、ブレーキ及びクラッ
  チの異常の有無
2.ワイヤロープ及びつりチェーンの損傷の有無
3.フック、クラブバケット等のつり具の損傷の有無
4.配線、集電装置、配電盤、開閉器及びコントローラの異常の有無
5.ケーブルクレーンにあっては、メインロープ、レールロープ(架空索)及びガイロープを
  緊結している部分の異常の有無ならびにウインチの据付けの状態
 事業者は、ただし書きのクレーン(1月を超える期間使用しないクレーン)については、そ
の使用を再び開始する際に、自主検査を行わなければならない。
                              クレーン等安全規則第35条

作業開始前の点検

 事業者は、クレーンを用いて作業を行う時は、その日の作業を開始する前に、次の事項について点検を行わなければならない。
1.巻過防止装置、ブレーキ、クラッチ及びコントローラの機能
2.ランウエイの上及びトロリが横行するレールの状態
3.ワイヤロープが通っている箇所の状態
                              クレーン等安全規則第36条
 点検事項 1 については、実際に作動させて点検を行う。2及び3の点検事項については、これらを見渡すことができる位置にて良否を確認する。

暴風後等の点検

 事業者は、屋外に設置されているクレーンを用いて瞬間風速が毎秒30mを超える風が吹いた後に作業を行う時、又は中震以上の震度の地震の後に作業を行う時は、あらかじめ、クレーンの各部分の異常の有無について点検を行わなければならない。
                              クレーン等安全規則第37条
中震以上 の震度の地震とは、震度4以上の地震をいうものである。

自主検査の記録

 事業者は、自主検査及び点検(作業開始前の点検を除く。)の結果を記録し、これを3年間保存しなければならない。
                              クレーン等安全規則第38条
 記録及び保存については、法定必要記載事項を具備し、一定の要件を満たす場合には、電子データ(磁気ディスク、磁気テープ、光ディスク等)による記録及び保存法であっても保存義務を満たすものとして取扱われる。

定期自主検査
項目 年次定期自主検査 月次定期自主検査 作業開始前の点検 暴風後等の点検
点検時期 1年以内ごとに1回 1月以内ごとに1回 作業開始前 作業開始前
実施者 事業者が指名する者 事業者が指名する者 担当運転士 担当運転士
記 録 年次自主検査表 月例自主検査表 始業点検簿 点検記録簿
保 存 3年間保存 3年間保存 法的にはない 3年間保存

補修

 事業者は、自主検査又は点検を行った場合において、異常を認めた時は、直ちに補修しなければならない。
                              クレーン等安全規則第39条

安全装置等の有効保持

 事業者は、法及びこれに基づく命令により設けた安全装置、覆い、囲い等(以下、安全装置等という。)が有効な状態で使用されるよう、それらの点検及び整備を行わなければならない。
労働者は、安全装置等について、次の事項を守らなければならない。
1.安全装置等を取りはずし、又は機能を失わせないこと。
2.臨時に安全装置等を取はずし、又は機能を失わせる必要がある時は、あらかじめ、事業者
  の許可を受けること。
3.前号の許可を受けて取りはずし、又はその機能を失わせた時は、 その必要がなくなった後
  直ちにこれを原状に復しておくこと。
4.安全装置等が取りはずされ、又はその機能を失ったことを発見した時は、すみやかに、そ
  の旨を事業者に申し出ること。
 事業者は、労働者から前項第4号の規定による申出があった時は、すみやかに、適当な措置を講じなければならない。
                           労働安全衛生規則第28条、第29条

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