クレーンの負荷条件等

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 クレーンの構造部分を構成する鋼材等は、交番荷重等により疲労破壊を起こす恐れがあります。このため、負荷条件をクレーンの設計の基準にしています。負荷条件等の条文は、クレーンの安全を確保するために欠かすことができません。


設計の基準とされた負荷条件

 クレーンを使用する時は、クレーンの構造部分を構成する鋼材等の変形、折損を防止するため、当該クレーンの設計の基準とされた荷重を受ける回数及び状態としてつる荷の重さ(以下、負荷条件という。)に留意するものとする。
                            クレーン等安全規則第17条の2
 この条文は、クレーンの使用時における鋼材等(鋼材の接合部及びリベット部を含む。)の疲労破壊を防止するため、設計の基準とされた負荷条件を超えてクレーンを使用しないよう留意することについて規定したものである。設計の基準とされた荷重を受ける回数及び常態としてつる荷の重さは、クレーンの耐用期間中に受ける荷重の回数や定格荷重に対して実際につられる荷の重さをいうもので、クレーン構造規格に定められている。

巻過ぎの防止

 クレーンの巻過防止装置については、フック、グラブバケット等のつり具の上面又はつり具の巻上用シーブの上面とドラム、シーブ、トロリフレームその他当該上面が接触する恐れのある物(傾斜したジブを除く。)の下面との間隔が0.25m以上(直働式の巻過防止装置にあっては0.05m以上)となるように調整しておかなければならない。巻過防止装置を具備しないクレ
ーンについては、巻上用ワイヤロープに標識を付すること、警報装置を設けること等、巻上用ワイヤロープの巻過ぎによる労働者の危険を防止するための措置を講じなければならない。
                            クレーン等安全規則第18条19条
 本条は、巻過防止装置が作動すべきフック等の巻上位置について規定したもので、シーブにはエコライザシーブも含まれる。巻過防止装置を具備しないクレーンとは、ケーブルクレーンのようにつり上げ装置にウインチを用いる方式のクレーンをいう。

安全弁の調整

 事業者は、水圧又は油圧を動力として用いるクレーンの当該水圧又は油圧の過度の昇圧を防止するための安全弁については、定格荷重(ジブクレーンにあつては、最大の定格荷重)に相当する荷重を掛けた時の水圧又は油圧に相当する圧力以下で作用するように調整しておかなければならない。ただし第23条第2項の規定(特例負荷)により、定格荷重を超える荷重を掛ける場合又は第12条(荷重試験)の規定により、荷重試験もしくは安定度試験を行う場合において、これらの場合における水圧又は油圧に相当する圧力で作用するように調整する時は、この限りでない。
                              クレーン等安全規則第20条
 本条は、つり上げ装置、ジブの起伏装置及び伸縮装置等の動力として、油圧を用いるクレーンの安全弁の吹出圧力の調整について規定したものである。

外れ止め装置の使用

 玉掛用ワイヤロープ等がフックから外れることを防止するための装置(以下、外れ止め装置という。)を具備するクレーンを用いて荷をつり上げる時は、当該外れ止め装置を使用しなければならない。
                            クレーン等安全規則第20条の2
 この条文の外れ止め装置を具備しなければならないクレーンとは、昭和51年11月1日以降に製造されたクレーンをいう。

過負荷の制限

 事業者は、クレーンに定格荷重を超える荷重を掛けて使用してはならない。事業者は、やむを得ない事由によりこの規定によることが著しく困難な場合において、次の措置を講ずる時は定格荷重を超え、第6条第3項(落成検査の荷重試験)に規定する荷重試験で掛けた荷重まで荷重を掛けて使用することができる。
1.あらかじめ、クレーン特例報告書を所轄労働基準監督署長に提出すること。
2.あらかじめ、第6条第3項(落成検査の荷重試験)に規定されている荷重試験を行い、異
  常がないことを確認すること。
3.事業者は、作業を指揮する者を指名して、その者の直接の指揮の下に作動させること。
  事業者は、荷重試験を行った時及びクレーンに定格荷重を超える荷重を掛けて使用した時
  は、その結果を記録して3年間保存しなければならない。
                              クレーン等安全規則第23条
 本条は、やむを得ない事由により特例の措置を講じる場合を除いて、クレーンに定格荷重を超える荷重を掛けて使用してはならないと定めたものである。やむを得ない事由とは、特例で負荷させる以外に方法がなく、かつ、臨時の場合をいう。水力発電においてローターをつり上げる場合等が該当する。第6条第3項の荷重試験で掛けた荷重とは、定格荷重の1.25倍の荷重をいうものである。異常がないことを確認するとは、クレーンの構造部分、機械部分、電気部分ワイヤロープ、つり具を点検して異常がないことを確かめることをいう。荷重試験及び特例負荷を行った場合は、結果に応じて特例負荷後2
年間は荷重試験を省略することが認められている。

定格荷重の表示等

 クレーンを用いて作業を行う時は、運転者及び玉掛けを行う者が当該クレーンの定格荷重を常時知ることができるよう表示その他の措置を講じなければならない。
                            クレーン等安全規則第24条の2
 本条は、クレーン作業に従事するすべての者が定格荷重を常時知ることができるように表示することについて規定したものである。その他の措置とは、クレーンの運転士及び玉掛けを行う者が定格荷重の表示を同時に見ることができない構造のジブクレーンにあっては、ジブの最大作業半径の定格荷重を適当な位置に表示すると共に、ジブの作業半径に応じた定格荷重表を運転室に備え、かつ、同表を玉掛けに従事する者に携帯させる等の措置をいう 。

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