上部旋回体

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 移動式クレーンの上部旋回体は、溶接構造の架台(旋回フレーム)にクレーン装置を搭載しています。下部走行体の旋回サークルに架装され、全体が左右に旋回する構造体です。




旋回支持体

 旋回支持体(旋回サークル)は、下部走行体と上部旋回体の間に架装され、下部走行体の上に設置された上部旋回体を円滑に旋回させるものである。旋回支持体には、ボールベアリング式とローラ式があるが、現在はボールベアリング式が一般的に用いられている。外側ボールレ
ースには、旋回のための歯(旋回歯車)が切られており、下部フレームに取付けられている。

   

旋回装置

 旋回装置は、旋回フレームに組立てられた上部旋回体を旋回させる装置で、旋回モータの動力を旋回減速機に伝え、旋回支持体の旋回歯車に噛み合っているピニオンを回転させて上部旋回体を旋回させている。旋回体には、運転終了時や走行中に旋回体が回転しないように旋回ロ
ック装置が備えられている。

旋回フレーム及びブラケット

 旋回フレームとは、上部旋回体の基礎となるフレームをいう。フレームには、ジブ取付用のブラケットを設け、巻上装置、ジブ、運転室、カウンタウエイト等を取付けている。ブラケットは、ジブを旋回フレームに取付けるもので、ジブ下部をフートピンで結合させている。旋回フレームには、建設機械用のフロントアタッチメントを取付けるための補助ブラケットを設けているものもある。

             

巻上装置及びドラム

 巻上装置は、油圧モータ、減速機、ドラム、クラッチ、ブレーキ、ドラムロックラチェット等で構成さている。油圧モータを駆動させ、減速機を介してドラムを正転、逆転させてワイヤロープの巻上げや巻下げを行う。巻上装置には、1つの油圧モータで2つのドラムを駆動させる1モータ2ドラム形式と、それぞれのドラムに油圧モータが備えられている2モータ2ドラム形式がある。ドラム(巻胴)は、巻上用ワイヤロープやジブ起伏用ワイヤロープを巻き込むための円胴型の筒で、ドラム表面にロープを正しく巻き取ると同時に損傷を防ぐ役割を持った溝が付けられている。移動式クレーンには、通常2個の巻上装置が設けられ、安全のためのロック機構が備えられている。

    

クラッチ

 巻上装置のクラッチは、摩擦板(ライニング)をクラッチドラムの内面に接触させたり離したりすることで、巻上ドラムに動力を伝えたり遮断したりする装置である。クラッチ作動用の油圧シリンダに圧油を送ると、シリンダが伸びてライニングを押し広げてドラム内面に接し、その摩擦力によってドラム軸の回転をドラムに伝える。移動式クレーンのクラッチは、クラッチを作動させる油圧シリンダに圧油を送らない限り、ドラムの軸が回転していても巻上ドラムは回転しない。

             

動力取出装置

 動力取出装置は、P.T.O「power take off」とも呼ばれ、エンジンのミッションから起伏装置伸縮装置、旋回装置、巻上装置等に動力を伝達する装置である。レバー操作によって操作バルブを作動させると、油圧ポンプよって吸込まれたオイルタンク内の油が圧油となり、操作バルブから送り出される。バルブを操作していない時の圧油は、そのまま作動油タンクに戻る。

             

ブレーキ装置

 ブレーキ装置は、巻上用、ジブ起伏用の巻上装置や旋回装置の回転を停止させるもので、クラッチドラムの外側を帯状のブレーキバンドで締め付け、摩擦力で制動する構造である。クラ
ッチ操作レバーを操作(断)しない限り、ブレーキが常に作用している自動ブレーキ方式が一般的で、油圧シリンダでスプリングを押し戻してブレーキの制動を開放している。旋回装置のブレーキには、バンドブレーキの他にディスクブレーキを用いたものがある。ディスクブレーキは、ブレーキバンド方式と同じく、スプリングの力によってブレーキライニングをディスクに押しつけて回転軸を制動する。ブレーキの開放は、油圧モータが作動すると油圧が流れ出しその油圧の一部がブレーキ装置のスプリングを圧縮してブレーキの制動を開放する。

       

Aフレーム

 Aフレームは、ジブ起伏用ワイヤロープを段掛けする下部ブライドルを取付けたフレームでジブの起伏をワイヤロープで行う方式の移動式クレーンに装備されている。必要に応じてAフレームの高さを調整することができる。
 長尺ジブを引き起こす時や作業時はAフレームを高い位置(ハイガントリ)にセットし、固定ピンを確実に挿入する。輸送する場合は、低い位置(ローガントリ)にセットし、移動式クレーンの全高を低くすることができる。

          

カウンタウエイト

 カウンタウエイトは、作業時の機体の安定を良くするために旋回フレーム後部に取付けられている。カウンタウエイトには、作業に応じてウエイトを追加するタイプがあり、カウンタウエイトとアウトリガ張出幅の組合せにより、A性能、B性能等の定格総荷重がある。

              

操作用運転室

 移動式クレーンを操作するための運転室には、クレーン操作に必要な操作レバー、ぺダル、スイッチ、計器等が配置されている。移動式クレーンの種類によっては、走行装置を備えているものもある。

          

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