自主検査

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 移動式クレーンは、休止しているものを除き、一定期間ごとに検査を実施し、整備不良による災害を未然に防止することが義務付けられています。作業開始前の点検は作業開始前点検指針、月次及び年次自主検査は定期自主検査指針に検査項目、検査方法、判定基準等が定められています。

年次定期自主検査

 事業者は、移動式クレーンを設置した後、1年以内ごとに1回、定期に当該移動式クレーンについて自主検査を行わなければならない。ただし、1年を超える期間使用しない移動式クレーンの当該使用しない期間においては、この限りでない。ただし書きの移動式クレーン(1年を超える期間使用しない移動式クレーン)については、その使用を再び開始する際に自主検査を行わなければならない。
 事業者は、自主検査においては荷重試験を行わなければならない。ただし、当該自主検査を行う日前の2月以内に第81条第1項の規定に基づく荷重試験(性能検査の荷重試験)を行った移動式クレーン又は当該自主検査後2月以内に移動式クレーン検査証の有効期間が満了する移動式クレーンについては、この限りでない。荷重試験は、移動式クレーンに定格荷重に相当する荷重の荷をつって、つり上げ、旋回、走行等の作動を定格速度で行うものとする。
                              クレーン等安全規則第76条
本条は、1年以内ごとに1回行わなければならない定期自主検査について定めたものである。

 ● 点検事項

  1. 構造部分、機械部分、電気部分の異常の有無
  2. ワイヤロープ又はつりチェーンの異常の有無
  3. つり具の異常の有無
  4. 台車又は台船の異常の有無

月次定期自主検査

 事業者は、移動式クレーンについては、1月以内ごとに1回、定期に次の事項について自主検査を行わなければならない。ただし、1月を超える期間使用しない移動式クレーンの当該使用しない期間においては、この限りでない。
1. 過巻防止装置その他の安全装置、過負荷警報装置その他の警報装置、ブレーキ及びクラッチ
 の異常の有無
2. ワイヤロープ及びつりチェーンの損傷の有無
3. フック、クラブバケット等のつり具の損傷の有無
4. 配線、配電盤及びコントローラの異常の有無
 事業者は、ただし書きの移動式クレーン(1月を超える期間使用しない移動式クレーン)については、その使用を再び開始する際に自主検査を行わなければならない。
                             クレーン等安全規則第77条

作業開始前の点検

 事業者は、移動式クレーンを用いて作業を行う時は、その日の作業を開始する前に巻過防止装置、過負荷警報装置、その他の警報装置、ブレーキ、クラッチ及びコントローラの機能について点検を行わなければならない。
                              クレーン等安全規則第78条

自主検査 検査項目 荷重試験
年次自主検査 1. 構造部分、機械部分、電気部分
2. ワイヤロープ、つりチェーン
3. つり具の異常の有無
4. 台車又は台船の異常の有無
定格荷重に相当する荷重の荷をつりつり上げ、 旋回、走行等の作動を定格速度で行う。
月次自主検査 1. 過巻防止装置その他の安全装置、過負荷警報装置、その他の警報装置、ブレ
 ーキ及びクラッチの異常の有無
2. ワイヤロープ及びつりチェーンの損傷の有無
3. フック、クラブバケット等のつり具の損傷の有無
4. 配線、配電盤及びコントローラーの異常の有無
作業開始前の点検 1. 巻過防止装置、過負荷警報装置及びその他の警報装置等の機能
2. ブレーキ、クラッチ及びコントローラーの機能
● 自主検査又は点検の結果、異常を認めた時は直ちに補修しなければならない。

自主検査の記録

 事業者は、自主検査及び点検(作業開始前の点検を除く。)の結果を記録し、これを3年間保存しなければならない。
                              クレーン等安全規則第79条
  記録及び保存については、法定必要記載事項を具備し、一定の要件を満たす場合には電子データ(磁気ディスク、磁気テープ、光ディスク等)による記録及び保存法であっても保存義務を満たすものとして取扱われる。

定期自主検査
年次定期自主検査 月次定期自主検査 作業開始前の点検 暴風後等の点検
点検時期 1年以内ごとに1回 1月以内ごとに1回 作業開始前 作業開始前
実施者 事業者が指名する者 事業者が指名する者 担当運転士 担当運転士
記 録 年次自主検査表 月例自主検査表 始業点検簿 点検記録簿
保 存 3年間保存 3年間保存 法的にはない 3年間保存

補修

 事業者は、自主検査又は点検を行った場合において、異常を認めた時は、直ちに補修しなければならない。
                               クレーン等安全規則第80条

安全装置等の有効保持

 事業者は、法及びこれに基づく命令により設けた安全装置、覆い、囲い等有効な状態で使用されるよう、それらの点検及び整備を行わなければならない。労働者は、安全装置等について次の事項を守らなければならない。
1. 安全装置等を取りはずし、又は機能を失わせないこと。
2. 臨時に安全装置等を取はずし、又は機能を失わせる必要がある時は、あらかじめ、事業者の
 許可を受けること。
3. 前号の許可を受けて取りはずし、又はその機能を失わせた時は、その必要がなくなった後、
 直ちにこれを原状に復しておくこと。
4. 安全装置等が取りはずされ、又はその機能を失ったことを発見した時は、すみやかに、その
 旨を事業者に申し出ること。
 事業者は、労働者から前項第4号の規定による申出があった時は、すみやかに、適当な措置
 を講じなければならない。
                           労働安全衛生規則第28条、第29条

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