移動式クレーンの用語
 定義と種類
 上部旋回体
 下部走行体
 フロントアタッチメント
 ワイヤロープ
 安全装置
 移動式クレーンの性能
 地盤と作業領域
 移動式クレーンの取扱い
 移動式クレーンの原動機
 エンジンの性能と点検
 油圧装置
 油圧制御弁
 油圧装置の付属機器
 作動油
 電気の基礎知識
 感電と対策
 絶縁/設置/測定機器
 製造検査と使用検査
 移動式クレーンの設置
 検査証と性能検査
 変更届と変更検査
 休止と廃止
 移動式クレーンの使用
 使用禁止の玉掛用具
 移動式クレーンの合図
 自主検査
 移動式クレーンの免許等
移動式クレーンの下部走行体
 移動式クレーンの下部走行体には、トラック式、ホイール式、クローラ式等のキャリアならびに鉄道クレーン用台車、浮きクレーン用台船等の走行装置があります。
トラック式キャリア
 トラッククレーンやオールテレーンクレーンの下部走行体は、トラック式キャリアと呼ばれ、上部旋回体を架装するための旋回サークルやアウトリガ等が装備されています。つり上げ荷重が10t以下のものは、トラックのシャーシをサブフレームで補強したものを使用し、それ以外は専用のシャーシが用いられています。
 小型のトラッククレーンは、下部走行体の原動機を走行とクレーン作業の動力に使用し、大型機は下部走行体及び上部旋回体に走行用とクレーン作業用の原動機がそれぞれ搭載されています。トラック式キャリアは、上部旋回体の質量に応じて前輪を1軸〜3軸、後輪を1軸〜4軸にしたものがありますが、中には8軸を超えるものもあります。
ホイール式キャリア
 ホイールクレーンの下部走行体には、専用のシャーシが用いられています。多くはアウトリガが装備されていますが、装備されていないものはタイヤの外側に鉄輪を取付け、クレーン作業時に鉄輪が接地してクレーンの安定性を増す構造です。ホイールクレーンは、一般に前輪駆動、後輪操向の機構で、走行体に設けられた原動機を走行とクレーン作業用の動力に使用しています。ホイールクレーンの一種であるラフテレーンクレーンは、アウトリガを装備し、走行は2軸4輪駆動式で、前2輪操向、後2輪操向、4輪操向、かに操向の4種類の操向モードを有し、狭あいな場所での機動性に優れています。
クローラ式キャリア
 クローラクレーンの下部走行体は、トラック式やホイール式の移動式クレーンとは構造や動力の伝達方式が異なります。クローラクレーンは、走行フレーム前部に遊動輪、後部に起動輪を配してクローラベルトを巻き、 起動輪を動力で駆動させる後輪駆動方式で、 走行フレームの下部ローラがクローラの上を転がって前
進します。
 クローラは、鋳鋼又は鍛鋼製のシューをエンドレス状につなぎ合せたもので、シューをリンクにボルトで取付ける組立式と、シューをリンクにピンでつなぎ合せる一体式があり、小型のクローラクレーンには道路の舗装を傷めないようにゴム製のクローラを採用しているものがあります。
  クローラのシューには、幅の狭いものや広いものがあり、 シューを取替えることで接地圧を変えることがでます。左右のクローラの中心距離をクローラ中心距離といい、この距離が大きいほど左右の安定度が増すため、油圧シリンダによって左右の走行フレームを押出してクローラ中心距離を大きくできる拡幅式があります。また、クローラの前後方向の安定性を増すために、起動輪と遊動輪の距離を広げてクローラの接地距離を標準よりも長くした形式があります。
平均接地圧(KN/m2)= 全装備質量(t)×9.8
総接地面積(m2)
総接地面積(クローラ接地面積)=クローラ接地距離×クローラシュー幅×2
鉄道クレーン用台車
 鉄道クレーンの下部走行体は、 レールの上を走行するための車輪を装備しています。一般に走行用原動機を有し、高速で自走することが可能で、クレーン使用時はレールクランプやアウトリガで安定度を増すことができます。
浮きクレーン用台船
 浮きクレーンの下部走行体には、 搭載されるクレーンの能力に適合した浮力を持つ箱型の台船 (ポンツーン)が用いられています。クレーンの能力に適合した浮力は、静寂な水面で定格荷重に相当する荷重をつった状態で、 転倒端の乾舷が0.3m以上でなければならないと定められています。
アウトリガ
 トラッククレーンやラフテレーンクレーン等には、クレーン作業中の機体の安定を保つためのアウトリガが装備されています。アウトリガの作動は、ほとんどが油圧式で、H形やX形のアウトリガがあります。また、トラッククレーンにはフロントジャッキを装備したものがあります。積載形トラッククレーンにもアウトリガが装備されていますが、横張出しはほとんどが手動式です。
 アウトリガは、アウトリガボックス、アウトリガビーム、アウトリガフロート等で構成され、油圧によって作動し、機体の安定と水平にする役目を果たしています。 トラッククレーンは、作業領域 (前方、側方、後方) によって、機体のつり上げ性能が異なります。トラッククレーンの安定度の高い順番は、後方、側方、前方で、前方領域のつり上げ性能は後方及び側方領域の定格総荷重の21%〜54%になるため、前方領域でのつり上げ性能を側方、後方領域と同一に高めるためにフロントジャッキを装備したものがあります。
X型アウトリガ H型アウトリガ
フロントジャッキ格納時 フロントジャッキ使用時