移動式クレーンの用語
 定義と種類
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 安全装置
 移動式クレーンの性能
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 エンジンの性能と点検
 油圧装置
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 電気の基礎知識
 感電と対策
 絶縁/設置/測定機器
 製造検査と使用検査
 移動式クレーンの設置
 検査証と性能検査
 変更届と変更検査
 休止と廃止
 移動式クレーンの使用
 使用禁止の玉掛用具
 移動式クレーンの合図
 自主検査
 移動式クレーンの免許等
回路の絶縁
 電気を安全に使用するためには、必要な箇所以外に電気を流さないことが重要なため、電線や電気機器の導体は絶縁体に包まれています。この絶縁体を用いて目的以外の箇所に電流を流さないことを絶縁といいます。クレーンに電力を供給するトロリ線や集電子に埃が付着すると接触不良による動作不良を起こし、碍子等の絶縁物に付着すると水分を含んで絶縁不良による感電災害を起こす恐れがあります。クレーンを
安全に運転するためには、配線等の清掃に心掛けることが大切です。
漏洩電流と絶縁抵抗
 絶縁物の電気抵抗は大きいため、電流は流れにくい。しかし、絶縁体であっても電気がまったく流れないのではなく、 通常の使用でも絶縁体内部や表面に沿って微小ながら電流は流れています。この僅かに流れる電流を漏洩電流といいます。
絶縁体は、紫外線、熱、雨、風、湿気等による劣化で漏洩電流が増加します。絶縁体が傷ついたりカーボンや金属粉等の導電性の物質が絶縁体を汚損したりすると、漏洩電流は更に増加します。漏洩電流が多くなると、感電や火災の漏電事故を招く等の安全上の問題が生じるため、 絶縁抵抗器によって定期的に回路の点検を行って良好な絶縁を保たなければなりません。 回路の電圧と漏洩電流の比を絶縁抵抗といい、これらの関係は次の式で表すことができます。
絶縁抵抗 回路電圧
漏洩電流
 400Vで使用する電動機の配線と大地の間の絶縁抵抗が0.4MΩの場合、この漏洩漏電は次の式で求めることができます。
漏洩電流 回路電圧 400 0.001A 1mA
絶縁抵抗 400000
※ 1MΩは1,000,000Ωであるため、0.4MΩは400000Ωになります。
スパーク
 トロリ線に沿ってホイールやシューが移動する時、コントローラを操作する時、 ナイフスイッチで負荷を切る時、あるいは整流子やスリップリングの接触によって発生する火花をスパークといいます。整流子とブラシの間の接点や周動部が汚れていたり荒れていたりするとスパークが起こりやすく、電圧が高いほど大きなスパークが発生します。
 スパークは、絶縁体の劣化、漏電、ショート、火災等を招くため、できるだけ発生を抑える必要があります。このため、整流子とブラシの間の周動部や接触面は荒れた状態で使用しないようにしなければなりません。

 ナイフスイッチは、入れる時よりも切る時のスパークが大きい。電気容量の大きい回路のナイフスイッチを切る時は、遮断器又は電磁接触器を開放してからナイ
フスイッチを切らなければなりません。その際、できるたけナイフスイッチから離れ側方から素早く切るようにします。
接地(アース)
 電動機や電気機器等の回路の絶縁部分が劣化すると、電流はこれらの外被 (ケース、フレーム)等どを通って大地に流れようとします。この漏電部分に人体が触れると、身体に電流が流れて感電します。この外被等を導線によって接地抵抗の低い大地に接続して電流を流れやすくしておけば感電の危険性は少なくなります。電気装置の外被や変圧器の1線から導線で接地抵抗の低い大地に接続することを接地といい、接続する導線を接地線(アース線)といいます。
 走行レールが大地に接地されているクレーンは、クレーンを構成している鋼材そのものがアースとしての役割を果たすため、電動機や電気機器の取付ボルトはしっかりと締め付け、給電装置に専用の接地線が設けられている場合は、その接地線を接地しなければなりません。
測定機器
 測定機器には運転用と整備用があり、運転用の電圧計や電流計等の測定機器はクレーンの運転室等に設置されています。点検整備用にはメガーやテスター等の測定機器が用いられていますが、測定を開始する前にこれら測定器の指針を調整ねじでゼロに調整してから使用しなければなりません。
電 流
 電流計は、電流の大きさを測るために用いられます。電流計は回路に直列接続しますが、誤って並列接続にすると、回路が短絡して焼損事故を起こします。電流計には直流用と交流用があり、 交流用電流計の接続の向きはどの方向でも構いませんが、直流用の電流計はプラス端子を電源の+側、マイナス端子を電源の−側に接続しなければなりません。
 直流電流計を高電流の直流の回路に使用する場合は、分流器 (シャント) を使用して回路の直流電流を一定の比率で扱い易い大きさに変換し、その値を測定しています。
 交流電流計を高電流の交流の回路に使用する場合は、変流器が使用して回路の交流電流を一定の比率で扱い易い大きさに変換し、その値を測定しています。
電圧計
 電圧計は、電圧の大きさを測るために用いられます。電圧計は回路に並列接続しますが、 直流電圧計はプラス端子を電源の+側、マイナス端子を電源の−側に接続して使用しなければなりません。
 直流電圧計を高電流の直流の回路に使用する場合は、倍率器によって回路の直流電流を一定の比率で扱い易い大きさに変換して電圧を測定しています。
 回路の交流電圧が高い場合、電圧計をそのまま接続して使用することができないため、計器用変圧器 (PT)によって一定の比率で降圧し、電圧計の目盛のみ高電圧の目盛りして、交流電圧を測定しています。
絶縁抵抗計(メガー)
 絶縁抵抗計は、電気機器の絶縁の良否を判断するもので、感電や火災の原因となる漏電事故を防ぐために用いられています。可動線輪計器と発電機を組み合せ、これにより回路の電圧と漏洩電流の比を測定するもので、100Vから1000Vの用途に応じたものがあります。また、ハンドルによって発電機を回して電圧を発生させるものや、電池を用いたオートメガーと呼ばれるものがあります。
テスター(サーキットテスター)
 小形軽量で持ち運びが便利なテスターにはアナログ式とデジタル式があります。テスターは、電圧・電流・抵抗等を測定できるもので、パネルのAC.Vは交流電圧、DC.Vは直流電圧、DC.mAは直流電流、Ωは抵抗を表しています。測定値は、測定レンジに合致した目盛を読み取りますが、 測定値が予想できない時は測定範囲の最も大きい端子につないで測定し、次に適当な端子に切替えて測定します。
計器用変圧器(PT又はVT)
 計器用変圧器は、高電圧の電圧の値を測るために用いられます。変圧器は、一般に電力用変圧器を指すため、この装置は特に計器用変圧器という名称で呼ばれています。これまではPT(Potential Transformer)という略称が用いられていましたが、現在はVT(Voltage Transformer)と呼ばれています。