移動式クレーンの用語
 定義と種類
 上部旋回体
 下部走行体
 フロントアタッチメント
 ワイヤロープ
 安全装置
 移動式クレーンの性能
 地盤と作業領域
 移動式クレーンの取扱い
 移動式クレーンの原動機
 エンジンの性能と点検
 油圧装置
 油圧制御弁
 油圧装置の付属機器
 作動油
 電気の基礎知識
 感電と対策
 絶縁/設置/測定機器
 製造検査と使用検査
 移動式クレーンの設置
 検査証と性能検査
 変更届と変更検査
 休止と廃止
 移動式クレーンの使用
 使用禁止の玉掛用具
 移動式クレーンの合図
 自主検査
 移動式クレーンの免許等
移動式クレーンのフロントアタッチメントとは
 移動式クレーンのフロントアタッチメント (作業装置)は、各種作業を行うために上部旋回体に取付ける装置で、ジブ、補助ジブ、フックブロック、リフチングマグネット、グラブバケット、 ジブ支持用ワイヤロープ、ブライドル、ジブ起伏ワイヤロープ、ジブ起伏シリンダ、ジブ倒れ止め装置等があります。
ジ ブ
 移動式クレーンのジブには、箱型構造ジブ(伸縮ジブ)やラチス構造ジブ (継ぎジブ) があり、軽量化のために高張力鋼板が使用されています。 マンガン、ニッケル、クロム、モリブデン等を加えて強度を高めた低炭素低合金鋼を高張力鋼板といい、溶接、加工
耐食に優れています。 ジブは、つり荷や自重による曲げモーメント、圧縮力、旋回による横荷重、風荷重等を考慮して設計されており、通常の定格荷重の作業に対しては適正な強度を保つことができますが、衝撃荷重等によって設計の荷重条件を超えると破壊や座屈を生じる恐れがあります。
箱型構造ジブ(伸縮ジブ)
 油圧式のトラッククレーンやラフテレーンクレーン等のジブは、強度のある箱型構造のジブで、ジブ内部に油圧シリンダやジブ伸縮ワイヤロ−プ又はチェーンを併用した伸縮機構を有しています。 ジブ伸縮ワイヤロ−プ又はチェーンを併用したものは、伸縮シリンダによるジブの伸縮の作動を利用し、それ以降のジブを伸縮させています。通常、2〜6段の油圧伸縮で、2段、3段、4段と順番に伸縮する順次伸縮方式と、各段が同時に伸縮する同時伸縮方式があります。その他には、イージースカイピン機構による伸縮方式があります。イージースカイピン機構は、通常の方式とは異なり、1本の油圧シリンダがジブ内部をスライドして各段のジブを固定ピンでロックしながら順次ジブを伸縮させる方法です。
 ほとんどの箱型構造ジブは、 ジブ先端にジブを伸長するための補助ジブtを装着することができますが、補助ジブを装着した場合はジブと補助ジブの取付角度をジブの方向に対して45°以内にする必要があり、つり上げ性能はジブ傾斜角と補助ジブの取付角度によって別に定められています。ラフイングジブを装備したものは
補助ジブの取付角度 (オフセット角)をジブの長手方向に対して5〜45°以内に油圧シリンダ等で自由に設定することができます。
株式会社 タダノ
GA−1000「イージー・スカイピン機構」より
 画期的な1本シリンダ伸縮方式「イージー・スカイピン機構」を国内で初めて採用。 ブームに内蔵された1本のシリンダで各段を押し出し、ピンロックをする工程を繰り返してブームを伸長させることができます。これにより、伸縮装置を大幅に軽量化して作業能力を最大約200%もアップすることができます。
 ブームの伸長操作(作業半径40m時)は、カラーモニタ画面より必要なブーム長さを選択し、後は伸縮レバーを倒すのみで複雑な操作は一切不要です。これにより、大型クレーンにおける強力な重作業を実現しました。
ラチス構造ジブ(継ぎジブ)
 クローラクレーン等に使用されているラチス構造ジブは、基本ジブ(下部ジブ+上部ジブ)の間に継ぎジブを継ぎ足してジブの長さを変えることができます。ジブを継ぎ足す方法には、ボルトで継ぐ方法とピンで継ぐ方法がありますが、現在はほとんどがピンによる結合です。
フック
 フックは、先端がかぎ形をしたつり具で、荷をつったまま任意の方向に回転することができるもので、 玉掛用ワイヤロープ等のフックからの外れを防止するための外れ止め装置が取付けられています。また、フックには重荷重用の主巻用フックと単索で荷をつる補巻用のフックがあります。 主巻用フックは、フックの上にシーブを必要な数だけ取付け、巻上用ワイヤロープの巻き掛数を増やせるフックブロック構造になっています。
グラブバケット
 鉱石や土砂等のばら物の運搬には、フックの代わりにグラブバケットが用いられています。複索式二線型のグラブバケットは、バケットのヘッドに連結した支持ロープ(主巻ワイヤロープ)でバケットを昇降させ、開閉ロープ(補巻ワイヤロープ)の巻取操作でバケットを開閉します。より方向が同じワイヤロープをグラブバケットの開閉と支持に使用すると、開閉ロープと支持ロープがからみ合うことがあるため、開閉用のロープをSよりにすることがあります。
 グラブバケットやリフチングマグネットを用いて旋回や起伏を行う場合は、グラブバケット等が振れたり回転したりすることがあるため、これを防止する目的でグラブバケット等をワイヤロープで軽く引っ張っておくタグライン装置が取付けられています。
リフチングマグネット
 鋼材やスクラップ等の運搬には、リフチングマグネットが用いられています。電磁石によって鋼材やスクラップ等を吸着させる仕組みで、一般にリフマグと呼ばれています。リフチングマグネットには、不意の停電に備えたバッテリによるつり荷落下防止装置(非常用電源装置) を設けているものがあり、クレーン等安全規則により、安全装置がない場合にはリフチングマグネットでつられている荷の下への作業者の立ち入りが禁止されてます。
バキュームリフター
 ガラス板のような表面が滑らかな板状ものを取扱う場合は、バキューム式つり具が用いられています。ゴム製の吸着パットを装着したバキュームリフターは、吸引力によってつり荷を保持するもので、吸引力を発生させる機構には動力式や自重式があります。
 動力式は真空ポンプを搭載して負圧を発生させてつり荷を吸着し、自重式はシリンダを内蔵している吸着パットの自重によって吸着力を発生させています。クレーン等安全規則により、バキュームリフターの使用中は荷の下への作業者の立ち入りが禁止されています。
ジブ起伏装置
 箱型構造ジブ(伸縮ジブ)とラチス構造ジブ(継ぎジブ)とでは、 ジブの起伏の方法や装置の構造が異なります。箱型構造ジブはジブに取付けた起伏シリンダ(油圧シリンダ) の伸縮によってジブを起伏させ、ラチス構造ジブはジブ起伏用ドラムを回転させて上部ブライドルと下部ブライドルの滑車を通る起伏用ワイヤロープの巻取り巻戻しによってジブを起伏させています。
ジブ倒れ止め装置
 ジブ倒れ止め装置は、ジブが後方へ倒れないよに防止する支柱で、 ラチス構造のジブに装着されています。ジブとAフレームの間に衝撃を吸収するスプリングを有したテレスコピック式の支柱を装着してジブを支える構造で、万一、巻上用ワイヤロープ又は玉掛用ワイヤロープの切断によってつり荷が落下した場合、 ジブが反動で後方へあおらないように防止します。ただし、ジブが後に倒れる時の全質量を受け止めるものではありません。
ジブ支持用ワイヤロープ
 クローラクレーンに用いられているジブ支持用ワイヤロープは、ジブ上端と上部ブライドルをつなぐワイヤロープで、通常、左右1本ずつに分かれ、継ぎジブの長さに応じて3m、6m、9mの3種類ワイヤロープをピンによって増結しています。
建設機械用フロントアタッチメント
 移動式クレーンの多くは、建設機械用のフロントアタッチメントを装着することができます。その種類には、クライムシェル、ドラグライン、バイブロハンマ、くい打ち機等があります。建設機械用のフロントアタッチメントを装着してクレーン作業以外に使用する場合は、作業内容に応じた運転資格(車両系建設機械運転技能講習等)が必要になります。
クライムシェル パイルドライバー