

移動式クレーンのフロントアタッチメント(作業装置)は、 各種作業を行うための装置です。フロントアタッチメントには、ジブ、補助ジブ、フックブロック、リフチングマグネット、グラブバケット、
ジブ支持用ワイヤロープ、ブライドル、 ジブ起伏ワイヤロープ、 ジブ
起伏シリンダ、ジブ倒れ止め装置等があります。
移動式クレーンのジブには、箱型構造ジブ(伸縮ジブ)やラチス構造ジブ(継ぎジブ) がある。 移動式クレーンのジブは、 軽量化のために、高張力鋼板が使用されている。高張力鋼板は、 マンガン、ニッケル、クロム、モリブデン等を加えて強度を高めた低炭素低合金鋼で、溶接、加工、耐食に優れている。 ジブは、 つり荷や自重による曲げモーメント、圧縮力、旋回による横荷重、風荷重等を考慮して設計され、通常の定格荷重の作業に対しては適正な強度を保つことができる。ただし、衝撃荷重等により設計の荷重条件を超えると、破壊や座屈を生じる恐れがある。
油圧式トラッククレーンやラフテレーンクレーン等のジブは、強度のある箱型構造のジブを使用している。 ジブ内部には、油圧シリンダやジブ伸縮ワイヤロ−プ又はチェーンを併用した伸縮機構を有している。ジブ伸縮ワイヤロ−プ又はチェーンを併用したものは、伸縮シリンダによるジブの伸縮を利用し、それ以降のジブを伸縮させている。通常は、2〜6段の油圧伸縮で、2段、3段、4段と順番に伸縮する順次伸縮方式と、各段が同時に伸縮する同時伸縮方式がある。
その他に、 イージースカイピン機構による伸縮方式がある。 イージースカイピン機構は、通常の方式とは異なり、1本の油圧シリンダがジブ内部をスライドして各段のジブを固定ピンでロックしながら順次ジブを伸縮させる方法である。
ほとんどの箱型構造ジブは、ジブ先端にジブを伸長するための補助ジブを装着することができる。補助ジブを装着した場合は、 ジブと補助ジブの取付角度をジブの方向に対して45°以内にする必要がある。
つり上げ性能は、ジブ傾斜角と補助ジブの取付角度によって別に定められている。ラフイングジブを装備したものは、 補助ジブの取付角度(オフセット角)
をジブの長手方向に対して5〜45°以内に油圧シリンダ等で自由に設定することができる。
株式会社 タダノ
GA−1000「イージー・スカイピン機構」より
画期的な1本シリンダ伸縮方式 「イージー・スカイピン機構」 を国内で初めて採用。 ブームに内蔵された1本のシリンダで各段を押し出し、ピンロックをする工程を繰り返してブームを伸長させることができます。これにより、伸縮装置を大幅に軽量化して作業能力を最大約200%もアップすることができます。ブームの伸長操作(作業半径40m時)は、カラーモニタ画面より必要なブーム長さを選択し、後は伸縮レバーを倒すのみで複雑な操作は一切不要です。これにより、大型クレーンにおける強力な重作業を実現しました。
クローラクレーン等に使用されているラチス構造ジブは、基本ジブ(下部ジブ+上部ジブ)の間に継ぎジブを継ぎ足してジブの長さを変えることができる。 ジブを継ぎ足す方法には、ボルトで継ぐ方法とピンで継ぐ方法があるが、現在はほとんどがピンによる結合が用いられている。
フックは、先端がかぎ形をしたつり具で、荷をつったまま任意の方向に回転することができる。玉掛用ワイヤロープ等がフックから外れることを防止するため、外れ止め装置がフックに取付けられている。フックには、 重荷重用の主巻用フックと、単索で荷をつる補巻用のフックがある。 主巻用フックは、フックの上にシーブを必要な数だけ取付け、 巻上用ワイヤロープの巻き掛数を増やせるフックブロック構造になっている。

鉱石や土砂等のばら物の運搬には、フックの代わりにグラブバケットが用いられている。複索式二線型のグラブバケットは、バケットのヘッドに連結した支持ロープ(主巻ワイヤロープ)でバケットを昇降させ、開閉ロープ(補巻ワイヤロープ)の巻取操作でバケットを開閉する。より方向が同じワイヤロープをグラブバケットの開閉と支持に使用すると、開閉ロープと支持ロープがからみ合うことがある。
このため、開閉用のロープをSよりにすることがある。
グラブバケットやリフチングマグネットを用いて旋回や起伏を行う場合は、グラブバケット等が振れたり回転したりすることがある。このため、これを防止する目的でグラブバケット等をワイヤロープで軽く引っ張っておくタグライン装置が取付けられている。
鋼材やスクラップ等の運搬には、リフチングマグネットが用いられている。電磁石によって鋼材やスクラップ等を吸着させる仕組みで、一般にリフマグと呼ばれている。リフチングマグネットには、不意の停電に備えたバッテリによるつり荷落下防止装置(非常用電源装置)を設けているものがある。クレーン等安全規則により、 リフチングマグネットに安全装置がない場合は、つられている荷の下への作業者の立ち入りが禁止されている。
ガラス板のような表面が滑らかな板状ものを取扱う場合は、バキューム式つり具が用いられている。ゴム製の吸着パットを装着したバキュームリフターは、吸引力によってつり荷を保持するもので、吸引力を発生させる機構には動力式や自重式がある。動力式は、真空ポンプを搭載して負圧を発生させてつり荷を吸着する。 自重式は、シリンダを内蔵している吸着パットの自重によって吸着力を発生させる。 クレーン等安全規則により、バキュームリフターの使用中は、荷の下への作業者の立ち入りが禁止されている。
箱型構造ジブ( 伸縮ジブ )とラチス構造ジブ( 継ぎジブ )では、 ジブの起伏の方法や装置の構造が異なる。箱型構造ジブは、ジブに取付けた起伏シリンダ( 油圧シリンダ ) の伸縮によってジブを起伏させている。ラチス構造ジブは、ジブ起伏用ドラムを回転させ、上部ブライドルと下部ブライドルの滑車を通る起伏用ワイヤロープの巻取り巻戻しによってジブを起伏させている。
ジブ倒れ止め装置(ジブバックストップ)は、 ジブが後方へ倒れないように防止する支柱で、 ラチス構造のジブに装着されている。 ジブとAフレームの間に衝撃を吸収するスプリングを有したテレスコピック式の支柱を装着してジブを支える構造で、 万一、巻上用ワイヤロープ又は玉掛用ワイヤロープの切断によってつり荷が落下した場合、 ジブが反動で後方へあおらないように防止するものである。 ただし、ジブが後に倒れる時の全質量を受け止めるものではない。
クローラクレーンに用いられているジブ支持用ワイヤロープ(ペンダントロープ)は、ジブ上端と上部ブライドルをつなぐワイヤロープで、通常、左右1本ずつに分かれ、継ぎジブの長さに応じて3m、6m、9mの3種類ワイヤロープをピンによって増結している。
移動式クレーンの多くは、建設機械用のフロントアタッチメントを装着することができる。 その種類には、クライムシェル、ドラグライン、バイブロハンマ、くい打ち機等がある。 建設機械用のフロントアタッチメントを装着してクレーン作業以外に使用する場合は、作業に応じた資格(車両系建設機械運転技能講習)等が必要になる。
