移動式クレーンの用語
 定義と種類
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 移動式クレーンの性能
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 移動式クレーンの使用
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 移動式クレーンの合図
 自主検査
 移動式クレーンの免許等
移動式クレーンの性能
 移動式クレーンの性能は、次の3つの要素からなり、その要素の最も小さな値によって性能が定められています。
移動式クレーンの性能の要素
機体の安定 …… 移動式クレーンが転倒するかどうか !
(機体が転倒しない安定性を許容できる荷重)
機械装置及びジブ等の構造部品の強度 …… 破壊するかどうか !
(ジブその他の構造部品が破壊に至らない強度を許容できる荷重)
巻上装置の能力とロープの強度 …… 荷を巻上げる力があるかどうか !
(巻上装置及びワイヤロープの能力により巻上げることが許容できる荷重)
 移動式クレーンの性能の要素を図で示すと、次のような性能曲線になります。性能曲線図は、「移動式クレーンの定格総荷重は、作業半径が大きい場合は安定度によって定められ、作業半径が小さい場合はジブその他の強度によって定められる。更に作業半径が小さくなると、巻上装置の能力とワイヤロープの強度により定められる。」ことを示しています。作業半径が大きい時のオーバロード(過負荷)は移動式クレーンが転倒し、作業半径が小さい時のオーバロードはジブその他の構造部品の破損を招く恐れがあります。
作業半径が小さい時のオーバロード
作業半径が大きい時のオーバロード
作業半径が大きい場合
(ジブの傾斜角が小さい場合)
…… 性能は、安定度により定められる。
作業半径が小さい場合
(ジブの傾斜角が大きい場合)
…… 性能は、ジブその他の強度により定められる。
作業半径が更に小さい場合
(ジブの傾斜角が更に大きい場合)
…… 性能は、巻上装置の能力とワイヤロープの強度により
定められる。
安定度
 安定度は、移動式クレーンの転倒に対する安定性を示すものです。転倒支点から機体側に働く安定モーメントを分子、転倒支点からつり荷側に働く転倒モーメントを分母とする比で安定度を表し、この値が大きいほど安定であるといえます。
 図に示す移動式クレーンの場合、転倒支点から機体側に働く安定モーメント[クレーン本体質量×転倒支点から機体重心までの距離]と、転倒支点からつり荷側に働く転倒モーメント[ジブの質量×転倒支点からジブ重心までの距離+(つり荷の質量+つり具の質量)×転倒支点からつり荷までの距離]の比が安定度です。移動式クレーンは、安定性を確保するためにジブの質量を考慮した前方安定度や無負荷時の後方への転倒を避けるための後方安定度等の基準が移動式クレーン構造規格ならびにクレーン等安全規則に定められています。
安定度= 安定モーメント
転倒モーメント


Wm クレーン本体質量
W1 クレーンアタッチメント質量
W+W つり荷質量とつり具質量の和
L1 転倒支点からつり荷までの距離
L2 転倒支点から重心までの距離
B1 転倒支点からアタッチメント重心までの距離
安定度= 9.8×Wm×L2
9.8×(W1×B1+(W+W)×L1)
移動式クレーンの転倒支点
 アウトリガを使用する移動式クレーンは、つり荷側の機体を支持するアウトリガフロート中心が転倒支点になります。左右のアウトリガの張出幅が異なるように移動式クレーンを設置にした場合に、 つり荷を張出幅の大きい方から小さい方へと旋回させると、安定モーメントは小さく転倒モーメントは大きくなり、 安定性が悪くなって転倒する恐れがあるため、注意しなければなりません。クローラクレーンの場合は、前方つりの時はクローラのスプロケットの中心が転倒支点になります。つり荷を側方に旋回した時は、つり荷側のクローラ中心が転倒支点になります。
後方安定度
 移動式クレーンの後方への転倒に対する安定性を示したものを後方安定度といいます。 荷をつらない状態でアウトリガを使用せず、ジブの長さを最短、傾斜角を最大にした時、ジブ側の転倒支点に移動式クレーンの質量に重力加速度を乗じた値の15%以上が残っていなくてはなりません。 ただし、アウトリガの張出幅を自動的に検出し、 ジブの傾斜角や旋回角度を制限して後方安定度を確保できる安全装置を備えている移動式クレーンについては、 アウトリガを使用した状態で計算
できることになっています。
 安定度を向上させるため、移動式クレーンの旋回体後方にカウンタウエイトを装備していますが、規定以上にカウンタウエイトを増やし過ぎると無負荷時の後方安定度が悪くなります。 負荷時において巻上用ワイヤロープや玉掛用ワイヤロープ等が切断すると、機体が後方に転倒する恐れがあるため、規定以上にカウンタウエイトを増やしてはなりません。
揚程図及び定格総荷重表
 移動式クレーンの作業を安全に行うためには、つり荷の質量、揚程、作業半径を確認し、作業半径、揚程図及び定格総荷重表によって最も作業に適した移動式クレーンを選択しなくてはなりません。移動式クレーンの性能でご説明した通り、移動式クレーンの定格総荷重表は、作業半径が大きい場合は安定度により定められ、作業半径が小さい場合はジブその他の強度によって定められます。定格総荷重表は、太線の境界線で区分されており、太線から上は強度、太線から下は安定度によって定められてます。太線から上の定格総荷重を超えるとジブの座屈等の機体の損傷を招き、太線から下の定格総荷重を超えると機体の転倒を招きます。
作業半径、揚程図
 作業半径・揚程図は、ジブの長さや補助ジブの長さ及びジブ起伏傾斜角によって変化する作業範囲を示しています。移動式クレーンの機種により、1目盛りが1m、2m、5m等で表示されています。作業半径・揚程図には、ジブのたわみは含まれていないため、 実際に荷をつった時の作業半径は、ジブのたわみによって若干大きくなり、定格総荷重の値が小さくなります。このため、実際に荷をつる時にはジブのたわみを考慮し、余裕ある作業条件を設定しなくてはなりません。
 次の図は、作業半径・揚程図のジブ部分を拡大したもので、ジブポイントピンとフックの最下部の位置は同一作業半径上にあることを示しています。 作業半径は、旋回中心からジブポイントピンよりおろした鉛直線までの水平距離です。 したがって、作業半径・揚程図の作業半径は、 ジブポイントピンからの鉛直線が示す作業半径を読み取ります。揚程は、ジブ長さや傾斜角に応じたフック等のつり具を有効に上下させる上限と下限との間の垂直距離です。揚程図の揚程は、フックの最下部からの水平線が指し示す揚程の数値を読みます。分かりやすくご説明すると、まず初めに求めるジブのジブポイントピンを探し、次にジブポイントピンから真っ直ぐに作業半径の数値が書かれている横軸まで直線を下ろし、その指し示す数値を読み取ります。これが作業半径です。揚程は、ジブポイントピンからフックの最下部を示す曲線まで真っ直ぐに直線を下ろし、この点から揚程の数値の書かれている縦軸まで水平線を引き、その指し示す数値を読み取ります。
定格総荷重表
 移動式クレーンの定格総荷重表は、アウトリガの張出幅、ジブ長さ、補助ジブ長さ、補助ジブオフセット角、 作業半径等の作業条件から定格総荷重を求めるものです。定格総荷重表には、ジブのたわみを含んだ実際の作業半径が示され、その数値にはフック等のつり具の質量が含まれています。
定格総荷重表の見方
この定格総荷重表は、ジブ長さをブーム長さとして表しています。
1 ジブ長さ30.5m、作業半径16.0mにした場合の定格総荷重は3.45t。実際につることができる定格荷重は、つり具の質量を300kgとした場合は3.15t(3.45t−0.3t)
ジブ長さ30.5mの欄と作業半径16.0mの行の交わる数値を読み取る。
2 ジブ長さ16.5m、作業半径5.5mにした場合の定格総荷重は15.6t。つり具の質量を300kgとすると、定格荷重は15.3t。
ジブ長さ16.5mの欄と作業半径5.5mの行の交わる数値を読み取る。
3 21tの質量の荷をつる場合、つり具の質量を300kgとすると、21.3t以上の定格総荷重が必要になる。
ジブ長さ9.5m、作業半径4.0mの定格総荷重は23.0tであるため、この条件であれば荷をつることが可能である。21tの質量の荷にフック等のつり具の質量300kg(0.3t)を加え、21.3t以上の定格総荷重で最大の作業半径を持つ数値を探す。