力に関する事項

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 力は、自由物体に加速度与えたり、物体に応力与える基となる作用因子です。この時の加速度と力の比例係数として質量という概念が導入されています。




力と作用

 質量のあるものを手に持つと手は真下に引かれる。また、バネの一端を手で引っ張ると、バネは加えた力の方向に伸びるが、元に戻ろうとして手を引っ張り返す。力学では、このような作用や静止している物体を動かしたり静止させたり、あるいは物体を変形させる作用を「力」 という。手を逆の方向に引っ張ろうとするバネの作用は、作用と同じ直線上で大きさが等しく向きが反対である。この反対に働く作用を「反作用」 という。

               

物体を動かす力の大きさ

 物体は、質量が大きくなるほど、動かすためには大きな力が必要になる。物体を動かすために大きな力が必要になるのは、質量が大きくなるほど大きな万有引力、つまり、力が作用しているからである。地球は、地球上の物体に対して9.80665m/s2の重力加速度を与えている。力学の試験においては、簡略して9.8m/s2としている。

 力の大きさは、「物体の質量×9.8」で求めることができる。1kgの質量の物体に作用する力の大きさは、9.8N(1kg×9.8)である。この9.8Nという数値は、地球上の1kgの物体に働く重力の大きさ、すなわち物体を動かす力の大きさを表している。重力加速度9.8という数値は、質量を力に換算する定数として用いられ、単位にはN(ニュートン)やkN(キロニュートン)が用いられている。質量kgの単位に定数9.8を掛けた時はN(ニュートン)、質量tの単位に定数9.8を掛けた時はkN(キロニュートン)の単位を使用すればよい。

 質量 計算式 物体を動かす力の大きさ
1kN 1kg×9.8 9.8N
1000kg 1000kg×9.8 9800N
1t 1t×9.8 9.8kN

力の三要素

 力には、力の大きさ、力の向き、力の作用点の3つの要素があり、これらを「力の三要素」という。力の大きさ、力の向き、力の作用する位置のいずれかを変えると、物体に与える効果が変わる。ただし、作用線上で作用点を動かしても、力の効果は変わらない。
 力の大きさや速度のように、大きさと方向を持つ量を「ベクトル量」といい、2つ以上の力を合成したものを「合成ベクトル」という。また、仕事量や高さのように大きさだけを表す場合は、「スカラ量」という。力の大きさは、図で表すと分りやすい。たとえば、力の大きさが5N(ニュートン)の時、1Nの力を1cmとすると、力の作用点から力の方向に5cmの作用線を引き、力の向きを矢印で表す。
● 力の三要素
 1. 力の大きさ(どれぐらいの力か!)
 2. 力の方向 (どの方向に働いているか!)
 3. 力の作用点(どこに作用しているか!)

            

力の合成と分解

 1つの物体に2つ以上の力が作用する時、これらの力を合成して1つの力に置き換えることができる。この合成した力を「合力」といい、合成以前のそれぞれの力は「分力」という。

 ● 1点に作用する2つの力の合成

 図のような点OにF1とF2の2つ力が作用する時、点AからOBに平行な線ACを引き、点BからOAに平行な線BCを引いて平行四辺形を作る。続いて点Oから点Cまで直線を引くと、F1とF2の合力Rを求めることができる。これを「力の平行四辺形の法則」という。この法則を逆に応用すれば、1つの力を互いにある角度を持つ2つ以上の力に分けることができる。これを「力の分解」という。

    

 ● 1点に作用する3つ以上の力の合成

 1点に作用する力が3つ以上ある場合も、平行四辺形の法則を用いて合力を求めることができる。F1、F2、F3の合力は、F1とF2を二辺とする平行四辺形を作り、F1とF2の合力R1求める。続いて、R1とF3を二辺とする平行四辺形を作り、F1、F2、F3の合力R2を求める。 このように1 つの物体に大きさの異なる多数の力が作用する時、物体は合力の方向に動く。

         

 ● 一直線上に作用する2つの力の合成

 一直線上に2つの力が作用する時の合力は、2つの力の方向が同じであれば力の和で示し、力の方向が反対であれば力の差で示す。
● 力の和 R=F1+F2
● 力の差 R=F1−F2

         

           

 ● 平行な2つの力の合成

 図のような物体上の点A、Bに、それぞれ平行な力F1とF2が作用している時は、同一線上に向きが反対で大きさの等しい力を物体に加えても、物体に与える影響がないことを利用して、F1とF2の合力Rを求めることができる。図の点AとBを結ぶ直線上に点Cと点Dを加え、「平行四辺形の法則」によってF1とACの合力R1及びF2とBDの合力R2を求める。次に、R1とR2の作用線を延長して交点Oを求める。続いて、点OからR1とR2に等しい(R1)(R2)を定め、平行四辺形の法則を用いてR1とR2の合力Rを求める。Rは、F1とF2の和、つまりF1とF2の合力であり方向はF1とF2に平行になる。

          
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