

力のモーメントとは、力学における質点に回転運動を与えるもので、力の能率とも呼ばれています。回転軸の力のモーメントは、トルク又はねじりモーメントといいます。
なお、質点とは、力学上の概念であって、質量のみを有し、大きさ等の他の要素については考慮されません。
物体を回転させようとする力の働きを「 力のモーメント 」という。物体を回転させようとする作用は、力の大きさだけではなく、回転軸の中心から力の作用点までの長さが関係している。たとえば、ナットをスパナで締め付ける時、
ナットの近くで締め付けるよりも、スパナの端で締め付ける時の方が小さな力で締め付けることができる。 この回転軸の中心から力の作用点までの長さを「
腕の長さ 」という。力のモーメントは、次の式で求めることができ、 単位にはニュートンセンチメートル(N・cm)やニュートンメートル(N・m)が用いられている。
● 力のモーメント = 力の大きさ × 腕の長さ

<例題>
図のようなスパナでナットを締めつける時、点Oを回転軸とする力のモーメントの求め方。
力のモーメント = 力の大きさ × 腕の長さ
= 98 × 0.2
= 19.6 N・m
力のモーメントをクレーンに置き換えて考える場合、図のA及びBのジブの腕の長さをL1、L2 とすると、AとBのジブには次の関係が成り立つ。
● クレーン等の力のモーメント
A < B
W1 × L1 × 9.8 < W2 × L2 × 9.8
※ 力のモーメントを力の単位にするためには、質量に定数 9.8 を掛ける。
モーメントには、通常、物体を時計回り(右回り)に回転させようとする力と、 反時計回り(左回り)に回転させようとする力がある。したがって、2つ以上のモーメントの和又はつり合いを求める場合は、モーメントの回転する方向を考えなくてはならない。
ジブクレーンや移動式クレーンは、安定モーメントと転倒モーメントの比でモーメントのつり合い(安定度)を求めることができる。 図のクレーンの機体の質量をW、
機体重心Gから転倒支点Oまでの長さをL、荷の質量をW2、転倒支点Oからの腕の長さをL2、ジブの質量をW3、 ジブの重心から転倒支点Oまでの長さをL3とすると、安定度は次の式で求めることができる。 この値が大きいほど、クレーンは安定であるといえる。
クレーンで荷をつり上げながらジブを起こしていく時、この場合における巻上用ワイヤロープと起伏用ワイヤロープに働く荷重について考えてみよう。 巻上用ワイヤロープは、荷の質量によって張力が働いている。 ジブを起伏させても、つり荷の質量は変わらないため、 巻上用ワイヤロープに働く荷重も変わらない。 それでは、 起伏用ワイヤロープに働く荷重はどうだろうか。 起伏用ワイヤロープには、 ジブの質量とつり荷の質量の張力が働いている。ジブを起こすと、作業半径(腕の長さ)が短くなり、 上の図の( W2 × L2 + W3 × L3 ) × 9.8 の値が小さくなる。 したがって、 起伏用ワイヤロープに働く荷重は小さくなる。