物体の重心

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 力学における重心は、質量が分布する空間において、その質量に対して他の物体から働く万有引力の合力の作用点です。したがって、重心は質量中心であるともいえます。




重心

 物体は小さな分子で構成され、それぞれの分子には重力が作用している。 これらの重力が1点に集中して働く作用点を 「 重心 」 という。 物体の重心は常に一定の点で、物体の位置や置き方を変えても物体の重心の位置は変わらない。また、物体の材料が異なっていても、形状が同じで材質が均一であれば、重心は同じ位置にある。ただし、重心が必ずしも物体内部にあるとは限らない。

            

 ● 図式による重心の求め方

 簡単な形状の物体や、その組み合せである物体は、分割してそれぞれの重心を求め、その合力によって物体全体の重心を求めることができる。 図のような形状の物体は、AとBの2つに分け、 それぞれの対角線の交点によって重心G、Gを求める。次にAの重心Gから任意の直線G、Dを引き、更にG、D 上で質量比を逆にした点Cを求める。 続いて点Cから D、G に平行な直線C、Gを引き、 G、Gと交わる交点を求める。これにより、形状の異なる物体の重心Gを求めることができる。

       

 ● 数式による重心の求め方

 図式によって重心を求めることができる物体は、数式によっても重心を求めることができる。図のような物体は、AとBに分け、それぞれの対角線の交点によって重心GとGを求める。Aの質量をW、Bの質量をWとすると、Aの重心Gから物体の重心Gまでのaの長さ及びBの重心Gから物体の重心Gまでのbの長さは、平行力のつり合いにより、次の式で求めることができる。

        

       

<例題>
 図のような物体Aの質量が20Kg、物体Bの質量が70Kg、AとBの重心間の長さが90cm場合の重心GからGまでの長さ ( X ) の求め方。

        

 ● 目安による物体の重心の求め方

 物体を1点でつった時、その鉛直線は必ず物体の重心を通る。互いに物体の異なる任意の箇所をつり、その作用線の交点を求めると、物体の重心を求めることができる。

        

 ● クレーン作業における重心位置

 クレーン等の作業では、重心位置が図Aのように偏っている状態で荷をつると、つり荷は図Bのように傾く。 これは、FとFがつり合おうとしてズレを修正するために起きるもので、この傾いた状態でFとFはつり合っている。

        

 傾いた状態で荷をつった場合、左右のワイヤロープに作用する張力が異なるため、一方の玉掛用ワイヤロープに大きな負荷が掛かる。 荷の傾きは、ワイヤロープの滑りや荷の落下の原因になるため、クレーン等を用いて荷をつり上げる時は、 荷の重心の真上にフックを移動させ、つり荷を水平につらなければならない。玉掛作業においては、次の手順に従って玉掛けを行うことが大切である。
  1.目安により荷の重心位置を定め、玉掛けを行う。その際、同じ長さのワイヤロープを使
   用し、AとBの間隔も同じ長さにする。
  2.荷を少しつり上げ、荷の状態を確認する。
  3.つり荷が傾く場合は、一旦、荷を下ろし、 荷が下がっていた方向にフック及び玉掛用
   ワイヤロープをずらす。
  4.再度、荷をつり上げて確認する。
  5.つり荷が安定しない場合は、水平になるまでこの手順を繰り返す。

         

 ● 基本形の重心位置

平面形や立体形等の基本形の重心位置の求め方は、表に示す通りである。

    

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