デリックの構造部分

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 溶接構造のデリックは、様々な原因によってクラック(亀裂)が生じることがあります。リベット(大型の鋲)による結合は、長く使用すると緩みが生じて打ち直す必要があるため、今ではほとんど使用されていません。


デリックの構造部分

 デリックの構造部分とは、つり上げた荷を支持するデリックの本体を構成する部分をいい、はしご、運転室、囲い、覆い、その他機体の強度計算において荷重が掛からないものとして取扱われる部分を除いたものと定義されている。デリックの質量を占める割合が大きい構造部分は、デリック構造規格に基づき、軽量で合理的な設計がされている。一般に鋼板、形鋼等の鋼材を用い、溶接又は摩擦接合用高力ボルトによって使用目的に適した形に製造されている。摩擦接合用高力ボルトによる結合は、施工時に適切に取付ければ緩みは生じないが、防錆に注意する必要がある。
● デリックの構造部分
  1. マスト
  2. ブーム
  3. 控え(ステー、ガイロープ)

マスト及びブーム

 デリックのマスト及びブームには、一般に四角形断面のトラス構造が多く使用されている。デリックのブームは、マストの下部とピンで結合され、マストと一体になっている。ガイデリ
ックは、マスト上部に取付けた陣笠にガイロープをつなぎ、マストを支えている。陣笠は、主にガイデリックのマストの頂部を支える金物で、砲金ブッシュ又は転がり軸受等を用いて摩擦を小さくし、マスト上部のガジョンピンとはめ合いになっている。スチフレッグデリックに陣笠はなく、マストが回転しないジンポールデリックも陣笠を使用していない。

         
             ガイデリック                   陣笠

 ● 控え

 デリックのマストを支持するガイロープ及びステーを控えという。 ガイロープの一方をシャックル等で陣笠やその他に固定し、もう一方をアンカー等に固定してターンバックル等
で緊張している。ガイデリックに荷重を掛けると、ブームの反対側のガイロープに引張力が
働く。ジンポールデリックに荷重を掛けると、ガイロープに引張力が働く。ステーは、スチ
フレッグデリックに用いられるもので、このデリックに荷重を掛けると、ブームの方向(位置)によってステーに引張力及び圧縮力が働く。

    
            スチフレッグデリック             ターンバックル

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