デリックの作動装置

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 デリックの動力には、電動機及びディーゼルエンジンやガソリンエンジン等の内燃機関が用いられています。





旋回装置

 デリックは、ウインチのスインガードラムでワイヤロープを巻取り、マスト下部に取付けたブルホイール(円形の回転輪)を回転させてマストを旋回させている。ブルホイールを回転させる方法には、1本のワイヤロープを用いる方法と、2本のワイヤロープを用いる方法がある。ガイデリックは、最大360度の範囲でのブームを旋回させることができるが、ジブクレーンのように同一方向に何度も旋回することはできない。

 ● ブルホイールを回転させる方法

  1本のワイヤロープを使用してブルホイールを回転させる方法は、ウインチドラムに緊結させたロープをシーブを介してブルホイールに3〜4巻きし、更にシーブを経てロープのもう片方を別のドラムに緊結し、これを巻き取って回転させている。簡易なガイデリックは、ブルホイールを使用せずにブームの先端に取付けたロープを引っ張って旋回させているものがある。ストライカーは、マスト下部のブルホイールに取付けられているリミットスイッチを作動させるものである。ブームの旋回限度を越える前にトライカーがリミットスイッチを作動させると旋回警報装置が作動して警報を発する。

        
         
      動滑車(スナッチブロック)  固定滑車(方向転換シーブ)      ローラー

マストステップ

 マストステップとは、マストの受台のことをいい、架台にしっかりとボルトで接合させてデリックの全荷重を支えると共に、マストを回転させる時の下部支持点として用いている。マストステップは上部ステップと下部ステップに分かれ、上部ステップにマストを取付けている。マストステップの上部ステップと下部ステップの接合部は、荷をつった時のマストの傾きを容易にし、この部分に無理が生じないように球形の座になっている。下部ステップの上部金物と下部金物の間に転がり軸受を設け、容易に 旋回ができるようにしている。巻上げ及びブームの起伏用ワイヤロープは、マストステップの中央部を通り、マスト下のシーブを経て、ウインチのドラムに巻取られる。

           
              マストステップ               写真は、イメージ

ウインチ

 デリックのウインチには、単胴式と複胴式がある。台枠の両側に2列の平行なフレームを設け、この上にドラム、動力伝達歯車、クラッチ、ブレーキ爪、つめ車等を取付けている。動力伝達の歯車には、通常、平歯車を使用している。つり荷の巻上げや巻下には、ウインチの子ドラムが用いられている。ブルホイールによる旋回には、一般にスインガー付きダブルウインチを使用し、ブームを旋回させるスインガー部は、ラムの前側に取付けられている。ウインチ台枠の後方に原動機を取付け、常に一定の方向に回転させ、クラッチ及びブレーキの操作によってウインチドラムの制御を行っている。ウインチの台枠には形鋼製と鋳鉄製があるが、軽量で強度のある形鋼製の溶接構造のものが多く使用されている。ウインチには、水平力と押上力が掛かるため、デリックを据え付ける基礎は荷重に十分耐えられるようにしなければならない。

          
           単胴式               複胴式

       

デリックの起伏

 デリックのブームは、ブームを支えるワイヤローブをマスト先端のシーブ及び下部のシーブを経たウインチの親ドラムで巻取ったり巻戻したりして起伏を行っている。ブームを倒すほど作業半径が大きくなり、起伏用ワイヤローブやブームの反対側のガイローブに掛る荷重も大きくなる。デリックは、運転士の見やすい位置にブームの傾斜角の度合いを示す装置を備えなければならないと定められている。ジブクレーンには傾斜角指示装置が使用されいるが、デリックには振子式半径指示針が使用されている。どちらもジブやブームの傾斜角の度合いを示す単純な機械的装置で、リミットスイッチ等は用いられていない。

         
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