

 玉掛用具を用いる時は、荷の質量、形状等を考慮し、十分に安全を確保できる玉掛用具の選定やつり角度等を決定しなければなりません。
        
        
 事業者は、クレーン、移動式クレーン又はデリックの玉掛用具であるワイヤロープの安全係数については、6以上でなければ使用してはならない。安全係数は、ワイヤロープの切断荷重の値を当該ワイヤロープに掛かる荷重の最大の値で除した値とする。
                                     クレーン等安全規則第213条
         ワイヤロープに掛かる荷重の算定では、つり角度の影響を考慮しなければならない。安全係数は、製造された時において所要の値があればよい。
 事業者は、クレーン、移動式クレーン又はデリックの玉掛用具であるつりチェーンの安全係数については、次の各号に揚げるチェーンの区分に応じ、当該各号に掲げる値以上でなければ使用してはならない。
                                    クレーン等安全規則第213条の2
        
| 1. 次のいずれにも該当するつりチェーン 4 | ||
| イ | 切断荷重の2分の1の荷重で引っ張った場合において、その伸びが0.5%以下のものであること。 | |
| ロ | 引張強さの値が400N/mm2以上あり、かつ、その伸びが次の表の引張強さに応じた値以上になるものであること。 | |
| 引張強さ | 伸び | |
| 400N/mm2 以上630N/mm2未満 | 20% | |
| 630N/mm2 以上1000N/mm2未満 | 17% | |
| 1000N/mm2以上 | 15% | |
| 2. 前号に該当しないつりチェーンの安全係数 5 | ||
 事業者は、クレーン、移動式クレーン又はデリックの玉掛用具であるフック又はシャックルの安全係数については、5以上でなければ使用してはならない。
         安全係数は、フック又はシャックルの切断荷重の値を、それぞれフック又はシャックルに掛かる荷重の最大の値で除した値とする。
                                     クレーン等安全規則第214条
 事業者は、次の各号のいずれかに該当するワイヤロープをクレーン、移動式クレーン又はデリックの玉掛用具として使用してはならない。
                                     クレーン等安全規則第215条
        
        1. ワイヤロープ1より間において、素線(フイラ線を除く。以下、本号において同じ。)の数
         の10%以上の素線が切断しているもの
          ※ フイラ線とは、ワイヤロープの変形を防止するために主要な素線の間により込んだ細い
           素線をいう。
        
             
        
              
              
        
        2. 直径の減少が公称径の7%を超えるもの
         直径の径は、無負荷の状態においてロープの直径を3方向から測定した値の平均値をいう。
        
              
        
              
        3. キンクしたもの
          ※ キンクとは、局部的によりが詰まったり戻っているものをいうもので、キンクの程度に
           よって20〜40%の強度が低下する。
        4.  著しい形崩れ又は腐食があるもの
          ※ 著しい形崩れとは、ストランドがへこんだもの、ストランドが緩んだもの、心網がはみ
           出たものをいう。
          ※ 腐食があるものとは、素線の表面にピッチング(剥離等の疲労)が発生しているもの、
           鋼索の内部に腐食がおよんでいるものをいう。
        
                
    
   
                キンク   形崩れ    腐食 
 事業者は、次のいずれかに該当するつりチェーンをクレーン、移動式クレーン又はデリックの玉掛用具として使用してはならない。
                                     クレーン等安全規則第216条
         つりチェーンには、特殊鋼(マンガン鋼等)をリング状に加工し、継ぎ目を鍛接又は溶接したものが多く使用されている。丸鋼の直径を呼び径といい、チェーンの大きさを表すために用いられている。ワイヤロープに比べて屈曲性(曲げに対する強さ)があり、耐熱、耐食に優れ形崩れがしにくい等の利点がある。熱処理を施して強度を増したものは、大きな力に耐えることができる。
        
        1. 伸びが、当該つりチェーンが製造された時の長さの5%を超えるもの
          ※ 伸びとは、当該つりチェーンが製造された時の任意の5リンクの長さを基準長さとし
           この長さの値の5%を超えるものをいう。
        
               
        2.  リンクの断面の直径の減少が、当該つりチェーンが製造された時の当該リンクの断面の直径
          の10%を超えるもの
        3.  亀裂があるもの 
 事業者は、フック、シャックル、リング等の金具で、変形しているもの又は亀裂があるものをクレーン、移動式クレーン又はデリックの玉掛用具として使用してはならない。
                                      クレーン等安全規則第217条
         変形とは、フックにあっては口の部分が開いたもの、円形リングにあっては楕円形になったもの等、これらが製造された時の形状と比べて、肉眼の判別で異なった形状と判定できるものをいう。
 事業者は、次の各号のいずれかに該当する繊維ロープ又は繊維ベルトをクレーン、移動式クレーン又はデリックの玉掛用具として使用してはならない。
        1. ストランドが切断しているもの
        2. 著しい損傷又は腐食があるもの
                                      クレーン等安全規則第218条
        繊維ロープのストランドとは、繊維ロープを構成する子なわをいう。
 事業者は、エンドレスでないワイヤロープ又はつりチェーンについては、その両端にフックシャックル、リング又はアイを備えているものでなければ、クレーン、移動式クレーン又はデリックの玉掛用具として使用してはならない。
         アイは、アイスプライスもしくは圧縮止め又はこれらと同等以上の強さを保持する方法によるものでなければならない。この場合において、アイスプライスは、ワイヤロープのすべてのストランドを3回以上編み込んだ後、それぞれのストランドの素線の半数の素線を切り、残された素線を更に2回以上(すべてのストランドを4回以上編み込んだ場合には1回以上)編み込むものとする。
                                      クレーン等安全規則第219条
        
これらと同等以上の強さを保持する方法とは、クリップ又はクランプを用いる方法をいう。
 
 事業者は、磁力もしくは陰圧により吸着させる玉掛用具、チェーンブロック又はチェーンレバーホイスト(以下、この項においては玉掛用具という。)を用いて玉掛けの作業を行う時は当該玉掛用具について定められた使用荷重等の範囲で使用しなければならない。事業者は、つりクランプを用いて玉掛けの作業を行う時は、つりクランプの用途に応じて玉掛けの作業を行うと共に当該つりクランプについて定められた使用荷重等の範囲で使用しなければならない。
                                    クレーン等安全規則第219条の2
         チェーンレバーホイストとは、レバーの反復操作によってチェーンを動かし、荷の巻上げ又は巻下げを行う玉掛用具をいう。
 
    
 事業者は、クレーン、移動式クレーン又はデリックの玉掛用具であるワイヤロープ、つりチ
        ェーン、繊維ロープ、繊維ベルト又はフック、シャックル、リング等の金具(以下、この条においてはワイヤロープ等という。)を用いて玉掛けの作業を行う時は、その日の作業を開始する前に当該ワイヤロープ等の異常の有無について点検を行わなければならない。事業者は、点検を行った場合において異常を認めた時は、直ちに補修しなければならない。
                                     クレーン等安全規則第220条